STアソシエイツ株式会社
少人数私募債発行のご案内
少人数私募債は社債の一種です。社債とは会社が発行する債券です。平成17年に制定された新会社法により、すべての株式会社が社債を発行できるようになりました。社債は発行方法によって①公募債②私募社債(プロ私募債)③少人数私募債に区分されます。
少人数私募債は株式会社が発行する固定利付普通社債券です。意欲ある中小企業が自社独自の条件で発行できる銀行借入に代わる直接金融による資金調達手段です。
少人数私募債の特徴
● 社債の勧誘を行う相手は少人数(50人未満)の身近な人(取引先や知人)に限ります。又社債購入者は機関投資家等の金融のプロでないことが条件です。
● 取締役会の決議のみで発行を決定できます。又発行総額・利率・期間等、発行条件の設定も自由にできます。
● 担保設定義務や発行総額の制限はありません。社債発行総額が1億円未満であれば購入者への「有価証券届出書等を提出していない旨」の告知義務もありません。
● 有価証券届出書・報告書等を提出する義務や社債の管理を外部の会社に委託する義務が免除され、社債券の発行が省略できます。(社債権者を保護するための社債管理者「銀行や信託銀行:弁済の受領や債権保全その他社債の管理を行います。」をおく必要がありません。)
少人数私募債発行のメリット
① 担保や保証人が不要であり、社債の引受者は発行会社と経営者の縁故者ですので発行会社と経営者の信用だけで資金を調達できます。 尚基本的に発行費用はかかりません。
② 社債の発行によって調達した資金は、銀行融資の場合と違って、運転資金や設備投資資金といった区分なく、その全額を自己資本のように自由に利用すること ができます。また、利率や償還期限なども発行会社が自由に決められます。
③ 社債の発行によって調達した資金は、毎月の返済の必要がなく、キャッシュの社外流出を一定期間抑えられるので、資金繰りが改善します。例えば、3,000万円(5年償還・年利率3%)を金融機関から借入れた場合、初年度は、元利合計で約690万円もの現金が出ていきますが、同条件で少人数私募債を発行した場合は、支払利息の90万円が1年間に出ていくだけです。
④ 発行会社の経営者は資金繰りから開放されることになり、本業に集中することができます。ですので根本的に経営体質を改善したり新規事業を立ち上げることが可能 となります。又、新規事業を開始するための研究開発資金などは銀行借入の場合融資が受けにくいと思われますが、その場合少人数私募債を発行することは非常に有効な手段となります。
⑤ 社債を発行し、会社が自力で事業資金を集められたということは、その会社の信用力を対外的にアピールすることになります。金融機関の格付け・評価が向上し、その後の融資が受けやすくなる可能性があります。
⑥ 社債の支払利息は、税法上、全額を損金(経費)計上できます。
⑦ 社債引受者が従業員である場合、経営への参画意識と、業績を上げていこうという士気の向上につながる可能性があります。 又会社の業績がアップした場合特典を付けることで、その効果をさらに高めることも考えられます。
平成25年度税制改正について
平成25年度の税制改正によって「少人数私募債」の利息に係る税制が変更されました。
”同族会社が発行した社債の利子でその同族会社の役員等が支払いをうけるものは総合課税の対象とする。”とされました。
平成28年1月1日以降発行される「少人数私募債」について、経営者がご自身の会社の発行する「少人数私募債」に投資した場合の利息収入は源泉分離課税から総合課税となります。尚、平成27年12月31日以前に発行される「少人数私募債」の利息収入については、課税方法が源泉徴収で申告不要の「源泉分離課税」から、確定申告が必要とされる「申告分離課税」に変更されますが、一律20%(20.315%含む復興特別所得税)の税率が適用されます。